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会員の蒔田 美穂様から寄せられたご感想を、掲載しています。

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大会レポート(蒔田 美穂様)

2018年10月7日、8日、第22回日本統合医療学会が札幌市立大学で開催された。台風25号日本直撃にもかかわらず沖縄など全国から434名が集まり、より良い医療への強い思いと熱気あふれる大会となった。

大会長は札幌市立大学教授の猪股千代子氏。約40年前から看護師として『心のケア、全人的ケア、希望を持てるケア』を実践し、北海道に単身移住して北の大地に統合医療の種を蒔き育ててきた開拓者。謙虚な物腰と確固たる強い意志が印象的だった。

『そばにいる』『聴く』『触れる』、『エビデンス』と『ナラティブ(患者の語る物語)』に基づいた未病・予防・健康マネジメントセンター構想を提唱。会場は温かい拍手に包まれた。
理事長の仁田新一氏は「以前問題が起きた時も『患者さんのためでしょ』という一言で皆がまとまった。今が統合医療実践の時。日本の統合医療は医師よりも看護師、ヨーガ療法家、鍼灸マッサージ師など、患者に寄り添っている人が指揮者になるのが良い」と述べた。

指定交流集会〔災害と統合医療〕では小野直哉氏が「売名行為・無自覚の自己満足・私心があっては志とは言わない。医療者も災害対策基本法を知り、非常時ならぬ日常時から仕込みをしておく必要がある」と語り、諌山憲司氏は「悟り(自身と他者、人間と自然との差を取る、差取り)と被災地ならぬ日常地支援が大事。被災してからではなく、事前の備えに力を注ぐべき。コンクリートやアスファルトを剥がして緑地にするディペンディングが防災になる」と述べた。

事例報告では鍼灸治療とリハビリテーションとの併用で著効を奏した例、トリガーポイント鍼・手技により椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症の疼痛・シビレの改善例、そのほか食養生、金属カッサ、クレイテラピー、リフレクソロジー、骨盤トレーニングなど多彩な実例の科学的計測結果が報告された。

体験型ワークショップではアボリジニの伝統楽器ディジュリドウ演奏体験、アロマトリートメント、カイロプラクティック、ヨーガ、ボディトーク、医療・介護に役立つマッサージ実技、西野呼吸法、音楽事務所によるコンサートなど個性豊かな項目が揃い、参加者が楽しく体験できるものになっていた。

また北海道支部企画として、アイヌ文化の継承者山道康子(アイヌ名アシリ・レイラ)氏、統合医療開業医西谷雅史氏、薬学博士堀田清氏、インドでアーユルヴェーダを学んだ新倉亜希氏が北海道の薬草と漢方・アーユルヴェーダとの関連を解説した。

死生観についてはカール ベッカー氏がシンポジウムと市民講座で「日本の医療費は国民一人当たり2千万円の赤字。しかも死ぬ前2年間に膨大な医療費が使われている。死をタブー視せず直視して、生き方と医療を考えることが重要だ」と問題提起。

より良い医療について新たな視点から考えさせられる大会となった。