10月24日の支部会にご参加いただいた、ヨーガ療法士とアロマセラピストの皆さまから、感想をお寄せいただきましたので、掲載いたします。
第17回 日本統合医療学会北海道支部:参加感想文
特別講演の川嶋朗先生のご講演がとても印象的でした。
特に講演の終盤にされた、どの講演でも必ずお話しするようにしているという事例の内容は、その言葉の裏に「これは時限爆弾です。爆発させない方法はあるはずです。他人任せにせず『あなたが』しっかりと受け止めて『あなたが』考えて止めてください。」そんなメッセージが隠されているような気がして、とても大変なものを受け取ってしまったと感じています。今もなおその余韻が残っています。
クライエントの希望を尊重し、その結果、医者としての立場からは無念としか言いようのない結果になったこと。何が正解かはわかりませんが、正解はひとつではないと私は思っています。
「どう生き、どう死んでいくのか」
普段から考えている人は少ないと思います。私自身も、そこまで真剣に考えたことが無いのです。統合医療実践者であるのに、私自身が「お任せ医療」になっていることにも気付き、とても恥ずかしくなりました。普段から少しの危機感も持たずにのらりくらりとやり過ごしていることがこういう場面で表面化するだと思います。
統合医療実践者自身が自身との対峙を経験していなければ、クライエントにもその方法を伝えることは無理だと思います。クライエントに統合医療自体の怪しさを感じさせてしまったり価値観を押し付けられたような印象を与えてしまったりしてしまうのは、関わる人間の意識や人間性の質の低さもあるのだと思います。
あまり悠長なことは言っていられませんが、統合医療実践者として自己研鑽は欠かせないことであると改めて強く強く実感しました。沢山の大切なことを再確認した時間でした。
(認定ヨーガ療法士 大野 直子)
第17回日本医療学会 北海道支部会 感想
今年の特別講演2題は、現在の統合医療の在り方、また今後の可能性について学ぶことができたと思います。川嶋先生の講義では、実際の医療の現場でよくある、患者と医療者の会話の様子から、医療者側の内情を聞くことができ、また、患者としての在り方についても、多くの一般の方に聞いて頂きたいお話でした。
代替医療については、すべてが「良い」というわけでなく、今の日本では様々な理由で難しいこともあり、それぞれの分野での一定基準がないからなのか、代替医療を行う側の問題(印象的だったのは、患者が知っておく代替医療の危険な3つのパターン)ということもあることを理解できました。
猪股先生の講義では、看護師という立場から全人的統合医療の「ケア」を中心にお話があり、このようなケアが実際受けることができたら、患者になっても幸せだろうなと思いました。また、看護学生の育成や、将来へのビジョン(統合医療ケア棟と病院が隣接する施設等)については、ぜひ実現して欲しいと思いました。
一般演題のほうですが、鍼灸の研究では、一定の効果がありながらも、可能性を追求し、研究活動を継続されていることに、改めて尊敬するとともに、統合医療に加わる者としても刺激を受けました。
陶先生の発表では現代の食事はカロリーと成分ばかりが強調されているという事、生命は太陽のリズムに合わせていくと病気にならなくなるということ、一見当たり前のことが現代では忘れ去られているのだなと感じました。ご自身の治療方針について「健康を作る指導のみで、癌や風邪が治ることはおまけです」と話されていて、すべての人間が持つ、本来の生命力の強さを引き出す関わりを、一貫して続けていらっしゃる、先生の信念を感じました。
ヨーガ療法では、佐高葵月代さんが『過敏性腸症候群とパニック障害に悩む方へのマインドフルなアプローチ』というタイトルで症例報告をしました。今回の研究についての、目的から考察・結論までが、とてもわかり安い内容でした。発表後の質疑・応答も多く、印象的だったのは、肉体の痛みへのアプローチ・病気別に何があるのかという問いかけでした。マインドフルネスからの回答の他に、ヨーガ療法でもこの件について現在検討中と返答していました。医療者からこのような質問をいただくということは、病気別プログラムのようなものが確立されれば、施設で採用されやすくなり、問題解決の一つの手段としてヨーガ療法を広く活用して頂けるのではないかという可能性を感じました。
また、最後に誤認知が変わらない方への応対について質問があり、時間がかかることが多いことや座学をメインにすること、宿題を持ち帰って頂くなどの方法があることを提示し、アーサナ(体操)をするよりも瞑想をする方が、認知の変化は速いという説明がありました。これはヨーガ療法が得意とするものであり、心身相関の医学として今一度、理解して頂けるきっかけになったのではないかと感じました。
(認定ヨーガ療法士 矢野 千晴)
第17回 日本統合医療学会北海道支部への参加感想
今回は、ヨーガ療法士として「過敏性腸症候群とパニック障害に悩む方へのマインドフルなアプローチ」という症例発表で2年ぶりに参加させていただきました。ご出席された医師や医療従事者の皆さまから、たくさんのご質問をいただき、マインドフルネスへの関心の高さを強く感じました。
2年半前に私自身ががんになり、セラピストから患者の立場になり、あらためて統合医療を客観的に考える機会がありました。患者は治療に何を望んでいるのかをつきつめて、退院後は自分自身のセラピーの方向性も大きく変わりました。
今回、がんの患者さんについてお話しをされた先生方もいらっしゃり、あらためて西洋医学と統合医療それぞれの進歩の速さに驚きました。しかし、この2つの医術が「統合」されるのにはまだ壁があるというのも感じます。それぞれが著しい進歩を遂げているのに、融合できないことのひとつは、お互いの立場を評価して認め合うという場が、まだまだ少ないように思いました。
水と油は、別の物質を加えることで乳化作用が起こり混じり合います。私たちは、「患者様の最善の治療」という、ひとつの共通した目標を持っています。ここを中心として歩み寄ることで、医療の乳化作用が期待できるはずです。
自分が患者になってみて、セラピストとしてできないことが多いこと、課題も山ほどあるのを体感しました。でもそれは、医療に関わる方は誰しも感じることではないでしょうか。自分ひとりでは解決できない課題を、チームとして協同作業で解決していける可能性のある統合医療には、まだまだ輝く未来があるのを、先生方や諸先輩方のお話しを伺って、期待が膨らみました。今後も、ヨーガという立場から統合医療に関わって行ける可能性を感じる大会でした。ありがとうございました。
(認定ヨーガ療法士 佐高 葵月代)
統合医療学会北海道支部 今回の学会についての発表
私が統合医療を知るきっかけとなったのは、息子を出産する際にお世話になった、助産師さんに声をかけていただいてからです。早くも今年で4年目になろうとしております。
私にとって統合医療学会北海道支部は医療従事者や鍼灸師、柔道整復師、各専門の療法士などが経験や体験をされたことを研究し、発表している貴重な場だと思っております。
10月24日に藤女子大学でおこなわれた学会では、統合医療のパイオニアでもある川嶋朗先生の貴重なお話をお聞きする事ができ、代替療法士として今後は自分に何ができるのかを考える事ができました。
参加できたことをとても嬉しく思っております。
学会を通じて得たものは統合医療というのは、どの専門分野の方でもコンダクターになり指揮をとれるように、常に勉強をし、自分を高めていくという点です。他では経験する事のできないお話がこの学会にはあります。今後も毎年かかさず参加していきたいと思っております。
(芳香療法士 上野 直美)
今回の学会のお話を伺い、改めて全人的医療について考え、患者様の心理、社会的側面などを含め個々人に合った総合的な疾病予防や症状の改善を私アロマセラピストの立場からお伝えしたいと思います。
日頃からお客様の症状(表情や手で感じた事をお伝え)に合ったオーダーメイドのアロマオイルトリートメントの施術を心掛けておりましたので確信でき納得のいく講義内容でした。
(アロマセラピスト 木谷 照子)