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大会長の猪股 千代子 先生から寄せられたご感想を掲載しています。
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第22回日本統合医療学会学術大会 大会長
日本統合医療学会理事、札幌市立大学看護学部教授
猪股 千代子 先生

第22回日本統合医療学会学術大会が、成功裏に終了いたしました。これもひとえに北海道支部会員とハマナス音楽&看護療法研究会の皆様そして日本統合医療学会の会員の皆様のお力添えを頂いた賜物でございます。

札幌医科大学時代、北海道難病連での実践のフィールドが得られたことは、現在の北海道での統合医療普及にとって大きな試金石となりました。補完代替療法士・PT・OT・ST・医師・看護師という専門職ケアチームでタッグを組めたのも大きな財産でした。これまでの専門職による“足し算のケア”ではなく“掛け算のケア”、また、それぞれの専門性の理解と連携に至るまでに、妥協せず、統合医療の本質追求のための職種を超えた話し合い、現行の医療提供システムにどのように組み込むか、悩んで奔走した本日までの12年間の出発点でした。現在、本学会および厚生労働省で唱えている「社会モデル」と「医療モデル」の考え方に合流できる知見を生み出したという、素晴らしい意義があったと思います。

札幌市立大学時代は、上記の学びから得た実践を広く北海道内の地域の皆様と共に検証し、さらには道内外で統合ケア(看護・音楽・アロマ・ヨーガ)を実践し、また、全国の関連学会で成果を公表した時代でした。同時に、研究論文も日本統合医療学会誌に上梓する事ができ、われわれの統合医療のアプローチの妥当性を客観的に評価でき、大きな自信となりました。そして志を同じくする多くの仲間と、深遠な関係性を築き上げられました。実践を通して、一人ひとりの人間性や、健康の奥深さを理解し、チームで統合医療の本質を学習しチームで成長できたことによって、北海道で統合医療学会学術大会を14年ぶりに開催できたのだと思います。

札幌市立大学看護学部の教員の学会運営力は、かねてから大学の財産であると思っておりました。さらに北海道支部会員の統合医療の英知と組織力で、全国学会も夢ではなく成功できると思ったのは3年前でした。しかし、自分を取り巻く労務環境を乗り越えることができるか、看護の学会ではなく医学・医療の学会のプログラムを設計できるか、人脈はどうするか、資金はどうするか、課題が山積していました。

大会の準備に追われていたところ、台風24号や北海道胆振東部地震の影響で、抄録集の準備が停滞する状況下が続き、そして、台風25号による陸空の運行状況の影響が大会当日まで続き、不安の中、当日の朝を迎えました。結果は、自然災害や人災を乗り越え、大会の開会にこぎつけられ、予定通りのプログラムを完了し、「会員の方々からも歴史に残る会だった」と大変高い評価を貰いました。15年前、宮城大学時代に見た夢が正夢になりました。北海道支部の方も、未来の医療を切り開く盟友をそれぞれに見つけられたと思います。これが私にとって最も仕合せな出来事です。苦悩や喜びをかみ締めながら生き抜いて実存している自己と、支えてくれる盟友と共に暮らした2年間でした。この体験は私の身体の一部になりました。皆様、本当に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。